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2011年12月26日

想像力と創造力

工業デザインの先駆者のひとり柳宗理さんが25日になくなった。
96歳でした。お会いしたことは一度もなかったのですが、
デザインに関する本で柳さんの人物像や、デザインした商品などを
知っている程度。
その程度なんだけど、柳宗理さんのデザインアプローチの影響を
少しばかり受けている。使う立場、使う人の視点が大事なこと。
モノ作りをしていると、どうしても「作る立場」を優先しがち
ですが、モノはあくまでも使う人たちの幸せにつながるように。

デザインに関係なく、どんな仕事でも「想像力」と「創造力」は
大事です。
想像力は「イメージすること」、創造力はそのイメージを
現実的に「作り上げていくこと」。このどちらにも欠かせないのが
情熱だ。たいしたことのないアイデアも、熱に取り付かれたように
今より少しでも「良くしたい」という思いがあれば、想像力や
創造力が湧き出ると改めて思ったクリスマスの夜でした。
  


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2011年12月08日

デザインするときの「ものさし」

 
 「よろこんでもらう」を
 確かめるモノサシです。
 ☆じぶんと仲間  
 ☆取引先と関係者  
 ☆お客さまとその周辺  
 ☆社会と歴史
 
 それぞれの☆の横にある人たちが、
 「よろこんでくれる」と思えたら、
 ☆を★に塗りつぶします。

 ★★★★ の仕事は、がんばってやるべきです。
 ★★★☆ の場合は、まだ検討したいところです。
 ☆☆★★ だと、長続きしないと思われます。
 ☆★★★ これは、うまくいきません。
 と、いうふうに使います。
(グッドデザイン審査委員長深澤氏のコメントより引用)
 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そして、僕がデザインするときのモノサシとして、
☆新規性ー新しい価値
☆機能性ー機能的に優れている
☆使用性ー使いやすい
☆品質性ー高品質である
☆美観性ー外観が美しい
☆公共性ーより多くに有用
☆時代性ー今の時代の価値観に適応
☆独自性ー他の類似品との差異が明らか
☆有用性ー役立つ
☆適材性ーその素材の適正
☆UD性ー誰でも使える
☆安全性ー安全である
☆互換性ーパーツ交換が容易

など、いくつかある項目で、☆から★になれるのが
どれだけあるだろうかと、ものさしを当ててみる。
いくつかの☆の中が真っ黒ではなく、まだ半分ぐらいしか
黒くない場合もありますが。
当事者は開発にのめりこんでると、客観的な目をもてと言っても
なかなか、冷静に客観的にはなりにくいけど、これから
取り組もうとする、あるいは今現在、仕掛けている事業計画や
商品開発は、いったい★の数がどうなっているかと、客観的に
見つめる(観察)ことも、熱中して没頭するのと同じぐらい
大事なデザインワークのひとつです。
  


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2011年11月21日

エアーチャイナ航空のナイフやフォーク



この間、伊万里にやって来た長女からもらったプレゼントには
写真のようなエアーチャイナ航空の機内食用プラスティック製の
ナイフやフォークなどがあった。

見たとおりのいかにも安いチープなプラ製品なんですが
よく見ると指が触る部分には、すべりにくいようにと
エンボス加工がしてあり、安いわりには、少しでも
使い易いようにと、気をつかっているようです。

使う相手への「気くばり」がデザインには不可欠なんですが
それにしても、よくもこんなに薄く作ったもんだと感心させ
られるエアーチャイナ航空のナイフやフォーク。
必要最小限ではなく、「必要最・最・最小限」な世界がここに
は存在していて、これを見ていたら「断・捨・離」の言葉が
浮かんできた。
  


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2011年11月15日

それぞれの形には意味がある



ひさしぶりの今日のブログは食事のときに使うフォークを
例にして話したいと思います。

上の写真には4本のフォークがありますが、食事のときに
フォークをどれにしようかと迷わずに選ぶのが右端のタイプ。
フォルムが気に入ってるのは左端のタイプで、直線部がなく
全体にやさしい印象を受け、金属の冷たさを感じさせない
やわらかなデザインをしたのは柳宗理さん。
今まで一番よく使っていて、たまに使うのが真ん中の2本。
シンプルなスタイルで、合理的なコンセプトだと、デザインは
こうなるよというお手本のような形状です。
しかしながら、右端のフォークが登場してからは、出番がめっきり
減ってきて、出番が少なくなったには理由がちゃんとある。

フォークの櫛の部分を見ると右端の方が細く長い。そして両サイドの
櫛も右端の方が細くなってるから、刺すときの抵抗力(ストレス)が
より少ない。このわずかな櫛の太さの違いが、使う(刺す)ときに
大きな差になっています。まさしくディテールこそ大事です。
そして、ホールド部は右端の方は下にいくほど幅広で、使うときの
安定バランスが優れている。
デザインの形状を決める前には、素材の特性や技術、生産性などの
作る側の条件を考慮するだけでなく、モノの在り方へのこだわりを
考えてこそ形の意味があり、使う時の「ストレス」をより少なく
するのもデザインの役割りだと思います。
  


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2011年09月20日

ベンツ大型トラックのデザイン


(写真はアクシスの記事より)

車のベンツと聞けば、高級乗用車の代名詞になってるけど
同社は世界最大のトラックメーカーだと、購読している10月号の
デザイン誌・アクシスの記事に書いてある。

メガトラック・アクトロスのキャブ全面のU字のような、V字の
ようなラジエターグリルのデザインは、一見すると、ただの
横ラインが5本ほど並んでいるにしか見えないが、一番下の
V字から上の水平線のルーバーまでは微妙な角度で
それぞれ違う表情で、全体として静かな動きを感じさせ
信頼感あふれる堂々としたデザインになってます。

フロントの静かな動きのデザインが、力強さと信頼性を
表し、マークのスリー・ポンテッドスターは大型トラックの
スケールに合わせて大きく、ベンツのベンツらしい堂々とした
デザインのDNAは、トラックにも受け継がれているね。
  


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2011年09月15日

島根・出西窯のデザインは良い



同じ焼き物とはいえ、伊万里や有田焼の磁器ではなく
備前や美濃、九谷ほどの知名度はないようですが
陶器の出西窯はデザイン関係の書籍にはよく登場する。
日本の民藝運動を代表する柳宗悦氏らの考えに共感して
器を作っている島根県の出西窯(しゅっさいがま)
一見の価値がありま。
ここでぼくが説明するより、上の青文字をクリックして
出西窯のホームページを見たほうが早いね。

なにか新しい食器を考えたら、あるいは、こんな器が○○○を
するにはいいと思ったら、試しに作っては作った本人が
自分で使ってみることです。
器を作る人自らが、食卓で使いんで、洗って、拭いて、
食器棚に収納するまで、器の使いやすさを自分自身で
検証してこそ、使い勝手の良さや不具合がわかるもの。

売れない原因を探すよりも、食器を作る人は、作れるという
特権を充分に楽しんでこそ、良い食器が生まれると思う。
  


Posted by デザイン散歩 at 20:49Comments(2)デザインとは

2011年09月15日

やさしいパン@佐世保・草加家



この間のブログで紹介した、佐世保の草加家さん
お菓子だけでなく、パンもこだわって作っている。

おいしそうなパンの写真に、おいしいなんて文字はなく
「コックスさんのやさしいぱん」と書いている。
ロゴデザインもコンセプトに合ってバランスがよい。

そうか、体にとってはおいしいじゃなく、体にやさしい
ほうが体にはいい事なんだと、改めて気付かされた。

はがきサイズぐらいのパンフレットには、やさしい
パンの作り方と、いくつかのやさしいパンが紹介してあり
「やさしいぱんの良さ」をきちんと伝えている。

商品を作ることと、その良さを理解してもらうための
価値を伝えるツール(パンフレットなど)も大事な商品。
良質な商品には、パンフレットも良質にできている。
やさしいぱんの表紙には、お店は漢字の草加家でなく
「そうかや」とひらがなでやさしくなっている。


  


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2011年09月07日

工作は、「工夫して」作ること



使い始めて30年近くになる木のお盆というか大皿。
直径が35cmぐらいで、素材は松の木。
片手でも持てるようにと、縁周りの内側がほんの少しだけ
凹んでいる。この「ほんの少し」というのが普段使いの
日用品や家具には、とても大きな価値があります。

他社製品よりも、より安く作ることを優先すると
「ほんの少しの良さ」は生まれません。良さを考えるよりも
安く作るにはどうするかしか考えないから。

伝統的地場産業や陶磁器産業には楽な時代ではないけれど
手作りならではの「良さ」を考えて、消費されるよりも
愛用されるモノ作りを工夫したほうがいいと思います。
場合によっては、「無用の用」ともいえる遊びの要素や
余裕など、一見すると無駄のようなのも取り入れて
日用品の中にカタチにしてみるのも面白いと思う。

工作の意味を辞書で調べたら、
・簡単な器物を作ること。
・土木・建築・製造などの工事や作業。
などがあり、また別な意味として
・ある目的を達するために、前もって他に働きかけたり
 計画をめぐらしたりして下準備すること。
 例文=「陰にまわって―する」「和平―」
 こうなってくると、デザイナーは工作員に近いね。  


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2011年08月08日

食器の買い方選び方



休日に机の回りの雑誌などを整理したり、整頓してますが
いつも身近に見えるところに置いている本がいくつかあり
「食器の買い方選び方」は、すぐそばに置いてます。
新しいデザインを考えるとき、たとえそれが食器なくても
気分転換にと、どこを読むでもなく読んでます。

著者の秋岡芳夫さんは工業デザイナーでオートバイから
竹とんぼまでデザインして、たまにNHKに出演しては
デザインをわかりやすく話していた人で、事務所や自宅に
お邪魔しては、秋岡さんのデザイン話を聞いてました。

「食器の買い方選び方」に限らず本を読んでいると、前には
気付かなかった所を見つけるなど、本を読む時の心情によって
読んでいても見えたり、見えなかったりするので、この本は
デザインを考える時や迷ったとき、いつでも読めるように
そばに置いて、私のデザイン教科書になってます。

夏休みに入り、「デザイン散歩+」もしばらくお休みします。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
  


Posted by デザイン散歩 at 19:51Comments(0)デザインとは

2011年07月06日

冷静と情熱のあいだ

まったく見てはいない映画なんで、タイトルだけを借用する
には、ちょっと気がひけるのですが。
「冷静と情熱のあいだ」というタイトルを見た時に
デザイナーの場合は逆になるぜと思い、冷静と情熱の
「間」でなく、「あいだ」とはうまい表現です。

似ているのは二つの漢字だけなんですが、その位置の順番が
デザイナーの仕事では、「情熱と冷静のあいだ」になり
打合せをしている時に、このデザインをやってやるぜ!と、
相手に見えない机の下で手には「力こぶ」のスイッチオン。

熱くなったデザインが先走りしないように、ある時には
自分の考えたデザインを冷静なもうひとりの自分や客観的な
別の自分が見つめます。
客観的にもうひとりの自分が見つめるのは、客観的ですから
ひとりのお客として、自分のデザインを見ることになるけど
お客の自分は、考えた自分の苦労やアイデアのプロセスを一番
理解している自分なのですが、そんな状況には知らんぷりして
ひとりのお客として冷静に見ては、また情熱の体温を熱くして
鉛筆を持ってスケッチブックにデザインを描くしかない。
クールビズのように、一見涼しげにさらっといるようでも
デザイン(自分の仕事)への情熱はアッチィチィにせんばね。
  


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2011年07月02日

自我自賛・自己反省・自問自答



なにか新しいデザインを考えていると、「お~、これはいいな」と
自分の出したアイデアに、もうひとりの自分がほめてくれたり。
反対に、「え~、そのアイデアはちょっとどうかな」と、のぼせすぎ
ないよう、また別の自分がちょっとブレーキをかけてくれる。

デザインを考えているのは、自分ひとりなんだけど、造形にこだわる
もうひとりがいたり、そのアイデアに満足しない別の自分がいたり
それじゃ普通だから、もっと工夫がいるねなんて、励してくれる
また別の自分もいたりする。

こうやって、アイデアの自我自賛や自己反省をいくどとなく
くりかえしながら、新しいデザインに自問自答する時間が
つきまとうことになります。
そんな自問自答するのを手助けしてくれるのが、紙と鉛筆です。
デザインスケッチを描くときに使うのだけど、実は自問自答して
向こうの先にある見えないものを見つけようとするために描いて
別の自分から「いいね」と、共感してもらうことなんだと。
  


Posted by デザイン散歩 at 19:19Comments(0)デザインとは

2011年07月01日

デザイン専門誌のアクシス8月号




毎月1日に発行しているデザイン雑誌のアクシス。

今日の7月1日に届いた8月号の特集は、

「今、廃棄物と向き合う」。

記事をめくっていたらブラジルで、プルタブを使った

バッグやアクセサリーを作っているのが紹介されて

どれも、廃棄物からとは思えないほどの質になっている。

それもそのはず、手工芸職人グループが作ってます。
  


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2011年06月27日

バランスの良い手作りの木のへら



武雄市若木の「くぬぎの杜」と看板がある所で、家具作り
木工塾に通ってから知ったのが、同じ敷地にある
和樹(なごみのき)さんのヘラや器などの木工品です。

鍋などをかきまぜるヘラは右利き用が一般的ですが、ここ
では、「左利き用」のヘラも作っています。
こういうのが、手作りならではの良さですね。

ヘラは手に「握る」モノ。
握り具合を左右するのは「太さ」と「握りの形状」なので
自分の指の長さや手の握力などに合う太さだと、使い心地が
良いでしょう。
そして、デザイン的には、写真のように手に握る棒の延長上に
ヘラの「重心」があるほうが、使い心地の決め手になると
思います。使い心地のキモの部分は「重心のバランス」です。
ヘラを握った感じで、心地の良さを判断しがちですが、実は
良いモノは「重心のバランス」が縁の下に隠れています。
  


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2011年06月20日

使い心地と使い勝手



モノがあふれている時代になっていると、「使い勝手」の良さと
いう理由より、その人個人にとって「使い心地」の良さのほうが
どうも優先されるような気がします。

使い勝手の良さは言い換えれば、便利や機能のようなものですから
誰にとっても、あると便利とか役に立つという範疇になりますが
「使い心地」になると、心地が良いかあまり良くないって話になり
これはもう使う人個人、個々の判断に委ねられてしまいます。
酒器の盃で例えるなら、お酒を飲みやすい盃でなく、その盃で
お酒を飲んだら、より美味く飲めそうな気になる盃ですかね。

モノは作り手の「個人が感じる心地良さ」を、さらに追い求める
ことで、心地良い(=センス)モノに生まれ変わると思います。
  


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2011年06月14日

商品は「なんのために」あるのか②



今日の記事は前回に書いた「本性」をもう少し書いて
みたいと思い、その続きになります。
うまく説明できないかもしれませんが、あまり気にしないで
さらっと流してもらえれば、ありがたいです。

「本性」ってのは他とは違う独自(差異)な「○○らしさ」じゃないかと
思ってます。新商品は3ヶ月や1年で作れても、お店や会社の
「らしさ」ってのは半年や1年そこらで根付かないでしょう。
大切なことをコツコツ続けていって10年ぐらいはかかるかな。
色彩、機能、特長などの属性について、ちゃんと説明ができても
そこの本性は伝えにくいものです。ですから、なおさらのこと
他とは違う、「○○らしさ」という本性が大事になります。

デザインをする場合、「いかに便利に」や、「いかに機能的に」
などのように、「いかに=HOW」を考えるので、属性に関わる
要素の周辺をあれこれいじり、時々はお化粧を変えるけど
大事なのは「根っ子」となる本性(らしさ)を創りだすことです。
今日の写真は、伊万里鍋島焼窯元・畑萬陶苑さんのマグカップ。
独自なルリ釉薬が誕生してから、20年以上になります。
  


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2011年06月10日

商品はなんのためにあるのか



ぼくが住んでいる伊万里や隣りの有田は焼き物が有名なところで
伊万里焼や有田焼という「産地の名称」が焼き物についてます。
この名称が本質(本性)を表しているのかと思えば、むしろ
「属性のひとつ」にすぎないと思ってます。
歴史、様式、染付、色絵など美術工芸品から食器まで、幅広い
アイテムがあり、これが有田焼の本性ですと、一言で説明する
には門外漢のぼくにはむずかしいけれど、知名度は中高年層には
高くても、年齢が若くなるほど知名度も低いようです。

写真の白磁のコーヒーカップは、正真正銘の有田焼のカップ。
この商品は「コーヒーを飲むためのカップ」ですから、世の中に
数多く存在するコーヒーカップのひとつにすぎません。
値段が安いから、有名デザイナーがデザインしたから、可愛い
あるいは贈り物になど、商品を使う(買う)理由は人それぞれ。
ですから、商品は「なんのためにあるのか」と存在理由が明確に
なっていないと、商品価値に共感してくれるお客(市場)に
「価値」は伝わりにくい。あんまり「属性」に執着しこだわり
すぎるより、これから開発する商品は「なんのためにあるのか」
を、とことん突き詰めていくことが大事だと思います。
写真のコーヒーカップは「なんのための」あるのだろうか。
  


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2011年05月26日

鍋島青磁のぐい呑



シトシトと降る雨をみると、どうやら伊万里も梅雨入りに
なったような空模様です。
最近になって、晩酌には日本酒をまたちびちび飲むようになり
高台がちょっと長い酒器で飲んでます。

ちょっと長い高台なので、ここに指をかけるには具合がいい。
高台の低い酒盃では、器の口縁あたりを持つことになるけど
ちょっと高台を長くすると、プロポーション変わると同時に
飲みやすく使い勝手も変わります。ほんのちょっとですが。

モノのデザインを考えるときに、構成している「要素」を
まずは分解してみるのも、ひとつの手だと思う。
酒盃なんだから、こうあるべきだと枠を決めつけないで
生活や食習慣も変わってきたのですから、枠を壊すんじゃなくて
酒盃に酒をつぐ、酒盃を手に持つ、口当たり具合、洗うときや
収納するシーンなど、酒盃を構成する「要素」と「環境」などを
分解して、じっくりと見直してみる。
新しいお酒の楽しみ方を発見するために、錆びついて頭の中や
眼をクリーニングするのに、「要素の分解」は必要ですね。
  


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2011年05月02日

チョコのトレーには小さなハートが4つ



連休のあいだもテレビの画面に地震情報がでた瞬間に、大変だなと
いう想いが頭のなかに浮かび、被災地から遠い伊万里にいても
こころが落ち着かない日がまだまだ続きます。
復興にむけて少しづつ動き出したニュースには人の笑顔が出てきた。
そんな笑顔のうらには大きな荷物を背負っているのにと思うと
被害にあっていない者の役目は、ちゃんと仕事をしようと思う。

小さな花を眺めるだけで、ホッとして気分が少し軽くなるなど
たいしたことでなくても、ほんの少し役にたつことがあります。
「ほぉ~」と、関心したのが、写真の茶色いプラスティックトレー。
これは以前に、このブログで紹介したフェアートレードのチョコレート
箱に入っているプラスティックトレーなんですが。
こういう所は目立たないから、こだわらないで丸や四角で凹凸をつけて
すませてしまうのに、わざわざ「ハート」のかたちにしている。
こんな小さな可愛い四つのハートをみると、四葉のクローバーじゃないが
「プチハッピー」な気分にしてくれます。
「目立たないから、こだわらない」じゃなく、たとえ見る人が少なくても
見たら楽しくなるように、細やかな配慮を感じる小さなハートです。
  


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2011年03月19日

シンプルと単純は似ているけど

いつものように朝が来て、いつものようにトーストを焼いて食べている。
こんなごく普通の朝食が、ずいぶんと贅沢に思えるこの1週間です。

いつもの朝に使っている木のお皿は使いはじめて30年以上になり
あまり身近にあるせいか、ほとんど気にすることなく使っている。
工業デザイナーの師匠のような秋岡芳夫先生が主宰していた
「モノモノ」というグループの勉強会に参加していたときに見つけた。
真ん丸い形をしている木製のプレートで、毎日使ってますが
30年経っても、ぜんぜん飽きません。
お皿のサイズ加減、リムの幅、中の凹み具合、持ちやすさ、厚みや
収納性、重ねやすい、木目の美しさなど、プロポーション、木肌の色など
いろんな要素のバランスが気にいってます。







形が真ん丸だから、シンプルなデザインだと言えるかも知れないけれど
シンプルを日本語に訳すと、「簡単な」とか「単純な」の意味になりますが
道具として「理に適っている」ことも、シンプルな意味にもつながるのでは。
あるいは、カタチに無駄がないとか、カタチに無理がないとか。
材料を加工してモノを作る場合、無理な加工をして作ると、後になって
「ひずみ」が出てくる。ひずみという字は「歪」と書き、何事にも「ひずみ」は
あまり嬉しいものではありませんね。

商品の存在価値として、「理に適っている」ことは何だろうと探して
探し求めた「理」を「カタチ」に集約すると、意外なシンプルに出会うかも。  


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2011年02月25日

食器のデザインを考える⑤:デザインの仕様

前回に、すべりにくい飯碗のデザインをする場合に3つの方向性が
あると書いたけれど、もっといいのが出てくるかも知れませんが
まずは限られた時間内で出てきたアイデアを優先し「仮説の候補」を
選択してデザインワークを進めていきます。時間が勝負の分かれ目で
締め切りまでに間に合わないのは、ダメ~なんて野暮なことは
なくて、次のステップに進んでいても、後からもっと良いアイデアが
出てきたら、良い方を選択して進めていきます。

浮かんだアイデアを文字に書いたり、スケッチを描くのは、まだ
会えない、見えない「新しさ」に出会うための作業のひとつ。
これかなと感じたり、フィルターにかけて、「これだ」と出会うために
浮かんだデザインをスケッチに描いては、また描き直していきます。
頭のなかに浮かんだ「新しさ」を、実際にスケッチに描いてみると
「あれ~、ちょっと違うなぁ~」となったりするのは日常茶飯事。
この曲線よりも、少しゆるやかにした方がラインがいい感じになりそうと
思い浮かんでは、デザインスケッチを描いては、また直すのです。
そんなデザインワークを繰り返すと、必ず「新しさ」に出会える。
誰よりも一番最初に「新しさ」に出会う楽しみがあるので、出会うためには
こんな楽しい作業を繰り返すのです。一緒に好きな音楽を聴きながら。

そこで、今回のテーマの「すべりにくい飯碗」のデザインとしては。
=飯碗は毎日のように使う日常家庭の食器です。あまりにぎやかな
 デザインよりは、たたずまいとして「控えめ」にすることを基本に
 おいて考えてみる。ですから、飯碗のデザインコンセプトは「控えめ」。
 料理が「花」なら、器は「葉」という感じでコンセプトを仮説します。
①段差タイプのデザイン案として
(a)指先が引っかかるよう、飯碗の側面にゆるやかな曲線の段差をつける。
 飯碗の持ち方は人それぞれ。ですから、人指し指や中指を置く場所は
 同じではないので、飯碗を横から見た場合、直線的な段差をつけるよりは
 ゆるやかな曲線で段差をつけた方が対応できそう。
(b)指を置く高さも人それぞれなので、飯碗の中ほどにつける「中ライン」と
 高台に近い低い位置につける「低ライン」、この中間に位置するような
 「中低ライン」の3つを用意する。
(c)しかし、ひとつの飯碗に、3つの段差ラインがついたのでは、にぎやかに
  なってしまうので、コンセプトの「控えめ」とならない。
(d)飯碗には、それぞれ中ラインタイプ、中低ラインタイプ、低ラインの
  3種類を用意する。
(e)段差面で、指先が当たる所にザラついた仕上げ面をつける。
  ザラついたラインの幅は2~3ミリ程度に。

と、すべりにくい飯碗のデザイン仕様が絞り込まれてきました。
ここでは、拡散したデザインを、絞り込んでいきます。
個人ひとりで考えていると、ひとりよがりな部分もかなりあるので
デザイン仕様を決める場合は、見直して点検することが肝心です。
ちなみに、今回の(a)のところに書いた「ゆるやかな曲線」なんてのは
言葉の響きは良さそうですが、曲線にすると、指を当てる位置決めが
不安定になり、いちいち飯碗を持つたびに、どの位置だったけと
位置を探すはめになる。これは感心しませんね。
そうならないためには、ゆるやかな曲線ではなく、横から見たら直線に
した方が探す手間もなくなりますね。
ひとつの飯碗タイプに段差ラインを3本つけて、ピッチは6ミリぐらい。
そして、指先が当たる部分のザラ付き面は、2ミリぐらいの幅に。
このぐらいが良さそうな気がすると思ったら、「仮説」を立ててみる。
「段差を直線の3本」と設定したので、次には3本の段差ラインが美しく
見えるフォルムを探すためにデザインスケッチを描きます。
段差をつけると釉薬がそこに溜まり、段差の役目が弱まりますから
釉薬の溜まり具合を想定しながら、段差の具合や形状、ピッチを検討。
フォルムに関係するサイズはどのぐらいにするかなど、まだまだ飯碗の
新しいデザインに出会う旅は続きますが、ここまで進んで来ましたから
あと1週間ぐらいで出会えるでしょう。

今週の月曜、5日目にはデザインが完成するでしょうとは書いたものの
まだ途中です。予定は未定になってしまいましたが、今週から始まった
スケッチを描かないデザインワークはこれでひとまず終了となります。
最後まで読んでもらいありがとうございます。  


Posted by デザイン散歩 at 16:39Comments(0)デザインとは