木目を生かすデザイン

デザイン散歩

2009年10月26日 15:02



さて、デザイン図をイシモクのお二人に見せて、今回のデザイン説明を
している時は、ガックリとうなだれる様子もなく、またお二人の顔から
血の気が引く様子もなく、時々「ほ~ぅ」とか、「う~ん~」とうなるような
声がでるなどの反応がありまして、徐々にデザイン図を見る前の状態の
正気が、お二人の顔に戻ってきました。
そして、デザイン説明を話し終える頃には、「「こいはおもしろかね!」とか
「そいもヨカね~」などと、お二人の前にいる私に気を使ってくれたのです。
(ホンに、イシモクのお二人はヨカ人ですたい)
そして、見せたデザイン図の中から4点ほどを、なんでんかんでん話して
いると、イシイ社長から「そいぎ、試しに作ってみんば~」の一言が出て
早速にも試作品づくりが始まりました。

新しいデザインを提案したときに、相手から聞く嬉しい一言は、この
「まぁ~ひとつ、試しに作ってみるか」という、言葉です。

この間のデザイン図から、出来上がったのが上の写真の木製プレートで
「木楽」の中のひとつで「温:ゆたか」という商品です。
このデザインの特徴が「曲面の構成」と書きましたが、もう一度、上の
写真をじっくりと見てくんしゃ~い。
このスイッチプレートは本物の木で作られているので「木目」があります。
平面で見える「木目」と、曲面で見える「木目」とでは、その木目の表情と
いうか、景色が微妙に違って見えるのも、曲面デザインの楽しみ。
同じナラの木から作れば似たような木目があるのですが、このカマボコの
板の木目からは、「世界でひとつだけの木目のプレート」が生まれるのです。
そんな木材の楽しみ方がある事も、このデザインで伝えたい事でした。

デザイン図はあくまでも、立体物をつくるための表現で、相手への伝達手段に
すぎないので、やはり立体物を「試しに作って」から、デザインの確認を
することで、もっと改良されて、良い商品へと近づくのです。

「試す」こと、これを英語では「TRY」といいますが、スポーツの中の
ラグビーでは、ボールをグランドにつける事を「トラ~イ」と呼び
このトライの多いほうが、ゲームに勝利するようです。
トライをするために、ひとつのボールを選手が手渡しながら走る姿は
ひとつの商品デザインを完成するために、それぞれのポジションの
役割をリレーをしているように見えます。何事も「トライ」せんばいけん。
そいぎ、グッドデザインが生まれるには、新しいデザインというボールを
投げたり、受けたりするチームワークの信頼感が一番大切です。
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