伊万里鍋島焼の青磁の食器

デザイン散歩

2011年04月04日 15:05

4月1日(金)から5日(火)まで、伊万里鍋島焼の里・大川内山で
「春の窯元市」が開催され、先週まで冷え込んでいたけど、窯元市の
時期に合わせたように桜の花も満開状態に咲き、見頃になってます。

そこで今日は伊万里鍋島焼の特長のひとつ、「青磁」の器を紹介。
大川内山では青磁鉱石が取れ、「鍋島青磁」は伊万里らしい器です。
写真の小鉢は、上から見ると四角い形をしているのですが、直線を
使わないで、大きな丸みを取り入れた柔らかな形状になっている。



内側の縁周辺には、細やかな彫刻を施して、青磁釉薬をかけると
彫り込んだ所に青磁釉薬がたまり、厚くなる部分とうすい部分で
青磁釉薬の「濃淡」が生まれて、「彫り」が少し強調されます。



青磁小鉢の形状特長のひとつに、縁の面がフラットではなく
ゆるかな上下の曲面に仕上げている点です。
こうしたゆるやかな波のような曲線で囲まれたおかげで、器自体の
存在感と個性がでて、細やかな彫りがさざ波のようにも感じます。

以前、窯業技術センターデザイン部長だったKさんと居酒屋でお酒を
酌み交わしながら、伊万里の焼き物について話をした時に
「青磁釉薬こそ伊万里鍋島焼の個性がでるので、窯元はもっと青磁
釉薬の美しさを研究をし、今の暮らしに合う青磁の食器を作らんば」
と、意見が一致したことがある。
青磁を作る窯元にとっては青磁の器は見慣れた、見飽きているでしょうが
今の暮らしに合う青磁の食器はまだ開発の余地が充分にあると思います。
そのためには、窯元自身が「食の風景」をどう楽しめるかであり
食の風景を楽しむには、どんな器がいいだろうと試しに作ることです。

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