2009年10月23日

Gマークのデザイン図面

木製スイッチプレート「木楽」の内側の実用新案原型も決まり、いよいよ
表側のデザインに取り掛かり始めました。
商品特性からデザインコンセプトは、「控えめに」。また「ハレ」ではなく
毎日使う「ケ」の商品ですから、「新しい普通の形=ニュースタンダード」を
イメージしてデザインスケッチをあ~でもないとか、これはどうかなぁ~と
描き始めました。
この「あ~でもない」とか、「これはどうかな」とデザインを考えている時間が
一番楽しい時で、時間がたつのもすっかり忘れます。
「木楽」の形状だけを見ると「シンプル」ですから、一見するとコンセプトが
「シンプル」のように思えますが、形状をシンプルにするのがデザインの
「価値」ではなく、インテリア空間の脇役としての「木質のたたずまい」を
どうデザインするのが、この場合の大事な要素でした。



そして、描いた中から4~5点ほど選んでお二人に見せたのです。
上の写真のデザイン図はそのひとつですが、このデザインのポイントは
下位置の断面図に描かれているように、大きな曲線(曲面)の構成。
木質のもつ柔らかさと、壁面からの突起をあまり意識しないように
デザインを考えたタイプですが、右側の断面図を見ると、裏と表の間の
木の厚み寸法が3ミリぐらいなのですが、ここが木工技術の見せ所。

このデザイン図を見た時の、イシイ社長とN子さんの顔の表情はハッキリと
今でも覚えているとです。
それは、今にも「エ~ッ、こんなのが新しいデザインなの~?」
と言わんばかりに、アッケにとられているようでした。
いえいえ確かにアッケにとられて、固まってしまい、ガックリと首を
うなだれる寸前でしたね。ホンナゴテ!
ですから、このデザイン図を見たときには、まさかこれを「Gマーク」に
応募するなどとは、お二人には全く想像すらできなかったことでしょう。
出来上がってみると、最初からそこに馴染んでいるような「たたずまい」に
創るのも、デザインの力なのです。

グッドデザイン賞に入選した後の祝いの席で、N子さんから言われました。
「あんなカマボコの板に穴ばほがしたのが、新しいデザインやなんて」と。
まぁ、おそらく半分は冗談で半分は本気で思っていたのでしょうね。
今までにも、いろいろな仕事で新しいデザインを見せた時に、相手の
「こんなのが新しいデザイン?」と固まった顔を、何回も見てきましたから。
おそらく「新しいデザイン=今までに見たことがないすごいデザイン」という
図式がどこかに植えつけられているようですね。スーパーに置いてある
キッコーマンの卓上醤油瓶が、凄いグッドデザインだとは思わないように。

すごいデザインで驚かすのは簡単なのですが、「グッドビジネス」に
成長するように、「商品の価値」を作るのが、デザインの役割なのです。

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Posted by デザイン散歩 at 15:09│Comments(0)グッドデザイン
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