2010年09月21日
伊万里の鍋島青磁のビアカップ

伊万里の焼き物は伊万里焼だろうと思う人が多いようですが、伊万里焼と
いう呼び名の焼き物はなく、正しくは「伊万里鍋島焼」。
江戸時代、佐賀鍋島藩の御用窯として、徳川家や諸大名への献上品を
作っていたので、一般には手に入らなかった焼き物が「鍋島焼」。
伊万里鍋島焼には、「色鍋島」や「鍋島青磁」、「鍋島染付」などがあり
特に、鍋島青磁はヒスイのような緑色した釉薬が特長です。
青磁釉薬は食器の生地が薄いと、「釉薬のかかり」も薄くなるので
しっかり青磁釉薬をかけている伝統的な鍋島青磁の湯呑みを持ってみると
ちょっと重く感じる。
実際に白磁の湯呑みと比較して、重量をはかったら明らかに重かった。
若い人ならコーヒーカップが多少重くても、気にしないだろうが、中高年に
なると筋力が低下してくるので、「重さ」が気になります。
伊万里鍋島焼の里・大川内山に来る観光客は、中高年の女性が多いので
食器の「重さ」も、買うか買わないかを判断する材料になるのでは。
窯元さんたちは焼き物に慣れているから、重さに対してあまり気にはせずに
鍋島青磁はこういうものだからと、伝統にこだわってます。
写真の青磁のビアカップは、縁回りに行くほど生地が薄くなっているから
青磁釉薬のかかりも薄いので、上から下へと、緑色のグラデーションに
なってます。釉薬がうすい分だけ、重さも軽くなっているからビールを
飲むときには、あまり重さを感じなくて使い易い。
またビアカップの内側は白い(かけ分け)ので、飲み物の色も楽しめる。
青磁釉薬の「使い方」やデザインを工夫するなど、今の暮らしにもっと
役立つ、楽しくするような食器ができるんじゃないかと思います。
Posted by デザイン散歩 at 17:04│Comments(0)
│グッドデザイン